On-chip Sortを用いたスフェロイド(spheroids:細胞塊)均一サイズ100μmの作製

【概要】 “より現実に近い”という観点から再生医療をはじめスフェロイド(spheroids:細胞塊)の状態で効果や反応を解析することが重要視されつつある。特にガン細胞をターゲットとした薬剤評価はスフェロイド内部まで薬剤効果を示すことが重要であり、揃ったサイズのスフェロイドが必要となる。単独細胞からスフェロイドを作製する時には細胞状態や培養状態によりサイズの異なったスフェロイドが形成されることが問題となっているが、On-chip Sortを用いれば100μmサイズのスフェロイドを作製できる。従来のJet in Air方式のセルソーターは、液滴形成時の圧開放ダメージや細胞回収時の受け皿(遠心チューブやプレート内の液面)への衝突により、スフェロイドの形状が変わったり壊れたりする可能性が高い。一方、弊社のセルソーター”On-chip Sort”は、ダメージを与えないセルソーターとして能力を発揮する。25~30μm程度(最大45μm)まで培養したスフェロイドのみを分取し、再度培養することでダメージ等の影響を与えずに100μm同サイズのスフェロイドを作製することに成功した。

【目的】On-chip Sortを用いて100μm同サイズのスフェロイドを作製できるか試みる。 

【試験方法】HT-29細胞(ヒト結腸線癌)株を48穴マイクロプレートで3日間培養し最大40μmサイズのスフェロイドを作製した(このスフェロイドを準備する際には増殖期のような安定した増殖能力を有する時期を用いるのが望ましい)。このスフェロイドを回収し、弊社のセルソーター”On-chip Sort”を用いて25~30μmサイズのスフェロイドのみをソーティングした。その後、SCIVAXライフサイエンス株式会社の3次元培養技術NanoCulture Plate(NCP-LH96)に20 spheroids/wellで播種した。3、5、7日間培養しそれぞれ撮影した。
 
【結果】HT-29細胞株は、3日間の培養により10~40μmサイズのスフェロイドとなった(Fig.1B右)。この時点でサイズのバラつきを解消するため、On-chip Sortを用いて約25~30μmサイズのスフェロイドソーティングをした(Fig.1A)。ソーティング後のスフェロイドサイズを確認するとソーティング無のスフェロイドに比べ同サイズであることがわかった(Fig.1B)。それらスフェロイドをNCP-LH96に再播種し培養した。その後3、5、7日後に観察した(Fig.2)。ソーティングしたスフェロイドは培養5日目でほぼ100μmサイズになり7日目には150μmサイズ程度に成長していた。これら結果から、On-chip Sortを用いて一定サイズで分取したスフェロイドは、その後培養をしてもサイズを維持していることが判明した。一方ソーティング無のスフェロイドは培養7日後には様々なサイズとなっていた。
このようにOn-chip Sortは分取したい目的物にダメージを極力与えないというシステムを最大限活かし、スフェロイドの形状を維持することができ、100μmサイズのスフェロイドを作製することができる装置であることが示唆された。我々は今後80μmサイズの目的物をソーティングするためのチップを開発中である。この完成によりソーティング後培養2日程度で100μmサイズになることが予想され、より一層サイズのそろったスフェロイドを作製できると確信している。
<この内容はSCIVAXライフサイエンス株式会社と共同で取得したデータです>
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