On-chip SPiSを使用したシングルセル分注(精度評価)

【概要】On-chip SPiSを使用してシングルセル分注(1ウェルに1細胞を分注)した精度をATPアッセイで評価した。
 がん研究を中心にシングルセルレベルの解析が重要視されるようになってきている。進行性の腫瘍には多種のクローンが含まれており、それぞれのクローンが特有の薬物応答を示したりする(下記文献1.2.3.)。これはがん細胞を1個ずつ解析し、各細胞のサブタイプや遺伝子変異を見分ける必要性があることを意味している。この解析を可能にするために
(株)オンチップ・バイオテクノロジーズは細胞を1つずつ1wellに撒く装置”On-chip SPiS”を開発した。
On-chip SPiSは画像認識方式で微量ピペット(吸引0.3μL)中に何個細胞があるのか判断し分注する能力がある

【方法】
準備: 
 GloMax System (Promega), Cell Titer Glo (Promega, Cat.G7570)
 On-chip SPiS(On-chip Biotechnologies),
 SPiS用1000μlチップ ブルー(WATSON, Cat.110-502B), SPiS用384分注ピペット(Biotec, Cat. BST5-384S)
 On-chip T Buffer(On-chip Biotechnologies, Cat.2001014), BSA(Millipore, Cat..82-100-6)
 PC9細胞株(ヒト肺腺癌由来)

 操作: 
 ①On-chip SPiSのプレ分注機能を使用して20μL/1wellになるようにPBSを96穴に分注した。
 ②PC-9細胞株濃度1700cells/500μLになるように1:10=PBS:0.5%BSA-T bufferで懸濁したサンプル(1.5mLチューブ)
を使用しOn-chip SPiSにより1wellあたり1個になる設定で96well撒いた。
(2個の場合は3400cell/500μL・3個の場合は5100cell/500μL・・・となる )
 ③分注したサンプルにPromega社cell Titer Gloを等量加えて撹拌・10分静置後各ウェルのATP値を測定した。

【結果】
On-chip SPiSを使用してPC-9細胞株を1wellに1個、2個、3個、5個と指定分注し、ATPアッセイにて測定した。その結果、綺麗な検量線が引けることがわかった(図1)。またOn-chip SPiSを使用して1wellに1個96穴プレートにPC-9細胞株を分注した。ATPアッセイで評価した結果、分注精度が89.5%であった(図2A, 2B)。所要時間は2時間弱。
比較対象は顕微鏡で確実に1個、2個であることを確認分注したものを使用した(図2A)。

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【まとめ】
On-chip SPiSはATPアッセイにおいて綺麗な検量線が引けるほど正確に細胞数を判別して分注できる装置である。これは画像認識方式を使用している強みであり、時間は少しかかるものの確実に分注しているという安心感につながる。また分注した後に解析画像を確認することも可能である。
この正確性が今後のシングルセル解析には重要だと考えられる。

1. Gerlinger M., et al. (2012) Intratumor heterogeneity and branched evolution revealed by multiregion sequencing. N Engl J Med 366: 883-892
2. Landau D. A., et al. (2013) Evolution and impact of subclonal mutations in chronic lymphocytic leukemia. Cell 152: 714-726
3. Navin N. E. and Hicks J. (2010) Tracing the tumor lineage. Mol Oncol 4: 267-283