シングル・スフェロイドを使用した腫瘍モデルの開発

【概要】これまでin vitroにおける腫瘍細胞評価系の主な手法は平面(2D)培養した細胞が単層状に増殖したものを用いてきました。これらはin vivoにおける腫瘍関連プロファイルおよび形態とは異なっています。一方、スフェロイド(3D)培養はin vivoに近づけるためには有用であり固形癌細胞モデルとの互換性も確認されています(文献1)。本内容はサイズを揃えたスフェロイドにおいて薬剤感受性を評価するための腫瘍モデルとしてOn-chip SortOn-chip SPiSを使用して1wellに1スフェロイドの状態を作製しATP Assayで解析した結果を提示する。
(本内容はORGANOGENIX株式会社と共同でおこなったものである)

【方法】
準備: NanoCulture Plate MS pattern, low binding, 96 wells, NPC-LS96, ORGANOGENIX, Inc.)
    Infinite 200 PRO(Tecan), CellTiter-GloR Luminescent Cell Viability Assay(Promega)
    On-chip Sort(On-chip Biotechnologies), On-chip SPiS(On-chip Biotechnologies),
    SPiS用1000μlチップ ブルー(WATSON, Cat.110-502B),
    SPiS用384分注ピペット(Biotec, Cat. BST5-384S)
    細胞 HT-29細胞株
方法: 
①HT-29細胞株をNanoCulture Plateに撒いて3~4日培養した(~120μmのサイズでスフェロイドが形成される)。
②顕微鏡でスフェロイドサイズと数の関係を把握する。
③スフェロイドを回収し、On-chip SortのFSCを使用して100μmと予測できる位置にゲートを設定し1800個程度ソーティングした。(FSCはスフェロイドの大きさに依存して値が大きくなる)
④回収したスフェロイドを500μLに調整しOn-chip SPiSで1個分注設定で96穴プレートに撒いた。
⑤薬剤MG132を0、0.01、0.1、1、10μMの濃度で加え、3日間培養した。
⑥Cell Titer GloRを使用しInfinite 200 PROでATP値を測定した。

【結果】
培養後バラつきのあるスフェロイドをOn-chip Sortを使用して約100μm前後で揃えた(図1)。30~190μmの範囲のバラつきをソーティングにより80~120μmの範囲にサイズを揃えた(図2)。On-chip SPiSを使用してサイズサイズを90~110μmに絞りシングルスフェロイドでプレートに撒いた3日後、細胞増殖阻害剤MG132の濃度による細胞への効果を確認した(図3)。
spheroid-sortingspheroid-atp-mg132-cell-permeable-proteasome-inhibitor

【まとめ】
On-chip Sortでスフェロイドサイズを限定し、
On-chip SPiSで更にサイズを均一化して分注することで
均一サイズのスフェロイドによる薬剤感受性評価が可能になることがわかった。

1)Ivascu, A. and M. Kubbies, Rapid Generation of Single-Tumor Spheroids for High-Throughput Cell Function and Toxicity Analysis.
Journal of Biomolecular Screening, 2006. 11(8): p. 922-932.